「風のまち」の案内板を横目に、風のように足早に歩き出す。
蟹田町もご多分に漏れず、町村統合で町名は廃止され、外ヶ浜町になってしまった。
風のまちの交流プラザ、トップマストもなにやら侘しく改修中。

平舘宿では、1847年オランダの捕鯨船員が上陸した事に端を発して、幕命で作られた台場が残っている。
道には出来ても、海に関所は作れない。

淡々とした海岸沿いの道が続くが、突如として巨大なコンクリートの構造物が出現。石崎無線中継所。
NTTがマイクロウェーブで、北海道へ電話回線を繋いでいたときの遺物とか。
時代は変わり、海底ケーブルの設置で使命を終え、不思議な巨体を晒し続けている。巨大構築物マニアには喜ばれそうだ。


今別町に入ると、岩屋観音、だるま滝、赤根沢のベンガラを採った赤岩、景勝の高野崎などがあり、見ものは海岸だけの単調な旅路を少し慰める。


アイヌ語由来か不思議な響きの袰月(ほろづき)集落では、伊能忠敬が二度の蝦夷地測量で泊ったという標柱がある。
第一次測量は、三厩まで23日間で歩ききっているので、測量しながらという事を考えるとその速さに驚く。
伊能忠敬効果か、予定の今別宿を過ぎ、「風の岬へようこそ」と迎えてくれる三厩宿まで、軽々と歩き着く。
最終地点への僅かな距離を翌日の楽しみに取り置いて、風のまちから風の岬へ、寸止めでこの日を終えた。

