程なく水生地に至り、氷室園地がある。ここに川端康成の伊豆の踊子の碑。
また、ここは松本清張の小説の「天城越え」の舞台でもあり、氷室が復元されている。
ここから分岐する道を八丁池まで歩いたことを思い出す。昔々の物語。


天城山隧道を越える。
走り水 迷い恋
風の群れ 天城隧道

隧道を過ぎると寒天橋。さらに見返すと二階滝。
わさび沢 隠れ径
小夜時雨 寒天橋


国道を渡り返して平滑の滝を過ぎると、130年ほど前植林された見事な宗太郎杉並木。


河津七滝の上流にある猿田淵に下る。
観光客は足を運びにくいところだが、河津七滝の遊歩道と繋げる工事が行われており、せっかくの良質な自然にとっては迷惑な事だ。


河津七滝、まず釜滝。高さはあまり感じないが、柱状節理が見事。

えび滝、へび滝、初景滝、かに滝、出合滝と続く。かに滝はどれがそれなのかよく分からない。
伊豆の踊子の像もご丁寧に二組ある。
最後の大滝は温泉旅館の敷地の中を下ってゆく。あまり近づけないので迫力は今ひとつ。






滝見物のあとは、巨大なループ橋。
1978年の伊豆大島近海地震で山腹の道路が寸断されて、その対応として作られたということだが、ここまでこれ見よがしにした意味が全く不明。
土木設計者がやって見たかったと言う事だろうが、自然な抗うような構造物はいずれ天罰が下る。
小さな集落の川横区は、風情のある光景が見られる。


小鍋神社には、髑髏木なる樫の木がある。
文覚上人が源頼朝に決起を促すため父の義朝の髑髏を見せ、その後この地に埋めたという。


湯ヶ野温泉を左下に見つつ、小鍋峠への道へ入る。
この峠は標高290mだが、天城峠以南の難所とされていた。
道は荒れていて、あまり人の踏み跡がない。
峠の標識は朽ちて倒れていたが、野仏へのせめてもの供養と思い立ち起こしてきた。



峠を下り北の沢に入ると、ハリスが見たという楠の孫木がある。

ようやく国道へ出て、下田まで残りの距離は僅かだが、都合よく来たバスで、北の沢バス停から次回の予習をしながら下田に出る。
二つの峠と、多くの滝と、時代を経た樹々と、そして自然を恐れぬループ橋と言う醜悪な人工物を見た一日だった。